無心になる瞬間

なにかに没頭したり、好きな事に集中したり、その瞬間、無心になる感覚があります。

わたしは、高校の時、ひとりで家でピアノを2時間も3時間も続けて弾きながら、歌っていました。
島根の田舎で育ち、大きな音や声を出せた環境に、今はとても感謝しています。

声を出せば出すほど、音を弾けば弾くほど、感覚が変わっていくのが楽しくて、少し休むとその感覚がなくなり、毎日没頭して弾いていました。

歌うことが大好きで、歌っている時は自分を好きでいられる瞬間でした。

中学生の時の長距離を走る時の感覚、途中で無心になれる時があります。
デットポイントを越える。と担任の先生から習い、本当に苦しくて仕方がなくてもう辞めたいと思った後、それでも頑張って続けると、その瞬間が来ます。
それが本当に気持ちがいい。

研ぎ澄まされて、なんでもできる感覚、どこまでも走っていける感覚でした。

 

社会に出て、調理の仕事をしながら、当時はフランス料理の下っ端で、洗い物や、サラダ前菜など、火を使わない仕事をしていましたが、ある時、キッシュを作らせてもらえる事になり、緊張しながら作ったのを覚えています。

シェフに教えてもらいながら、火を入れていきます。
ふつふつと穴が開く、ソースの固さが変わっていく瞬間、続けて集中していくと、シェフがはい、上げて。と、言う。
この見極めがとても重要で、火を入れ過ぎれば、固く、もそもそになるし、火の入れ方が甘ければ、ゆるくなる。

なんども何度も繰り返して、作っていくと、自分の中で感覚が生まれます。
ヘラで触った時の感覚、それだけで味や食感まで鮮明に感じます。
匂いや、湯気の感じ、火の強さ、ヘラの動かし方、全てがしっかり整い、重なり、ソースと一つになる感覚。

今だ。

この感覚がわかるようになると、本当に楽しくて、楽しくて、ソースが可愛くて、本当に我が子のように愛らしい。

そのソースを使った料理をお客さんがおいしいと食べてくれる。
本当に幸せでした。

歳を重ねるごとに、この感覚は鈍くなり、集中力もなくなり、やる気もなくなり、やりたいこともわからず、でも、あの感覚になれる、没頭できるもの、仕事を常に探していました。

自分も成長できて、周りの方の役に立てる、やり甲斐のある仕事をいつも探していました。

 

29歳の時、ここのヨガに出会い、自分の体や心に対して、無心に向き合う事、無心になれる瞬間、誰かと触れ合うことの大切さ、心から笑顔になれる瞬間。

それを感じさせてもらいました。

自分のしたい事はここにある。
と、転職を決め、今ここで働いています。

たくさんの方と出会い、たくさんの方の笑顔が見れるこの場所がとても好きです。

いつでも、お待ちしております。

 

 

斎藤 絢香

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